入社して倒産する。もうすぐ倒産する企業に転職してしまわない為のポイント

会社の財務諸表をチェックする

財務諸表とは？

いわゆる「決算書」の正式名称が財務諸表です。

企業が一定の期間(ほとんどは1年)行ってきた事業の成果、
つまりその間の財政状況や経営の成績をまとめ、公表するために作成されます。

これらは株主や投資家、取引先はもちろん、
従業員など、この会社は大丈夫なの？というのを内部外部から確認するために、大事な書類です。

財務諸表を確認してみよう

ですから、私たち求職者にとっても、会社の財務諸表は会社の経営状態や倒産リスクを知るための、非常に重要な情報の宝庫なのです。
特に、損益計算書と貸借対照表を見ることで、
会社の収益力や資金繰り、自己資本の状況などを把握することが可能です。

財務諸表を見てみて、例えば、以下のような状況はないでしょうか。

⑴売上や利益が減少している、または赤字が続いている
⑵現金や預金が減少している、または借入金が増えている
⑶自己資本が減少している、または債務超過になっている

会社の財務諸表は、会社のホームページや有価証券報告書などで公開されている場合が多いので、良いなと思う企業を見つけたら、選考前に確認しておくと良いでしょう。
また、財務諸表の分析がよく分からない！不慣れだ！
という場合は、信用調査会社のレポートや評価なども参考にすることができます。

その会社に関わる人の様子はどうか？

人を観察してみよう

とはいえ、会社の財務諸表だけでは、会社の倒産リスクを完全に見抜くことは難しいものがあります。会社の内部事情や経営者の意向などは、社長や社員の様子からも読み取るべきでしょう。

例えば、次のような状況はないでしょうか。

⑴役員や経理担当者が辞めていく。
⑵社長が社内にいなくなる
⑶税理士や金融機関の担当者が頻繁に来訪する、あるいは経理責任者が金融機関に行く日が増える
⑷コスト削減が顕著になり、日用品の支給や機械・設備のメンテナンスが行き届かなくなる
⑸希望退職制度を設けて退職者を募る
⑹ボーナスが大幅に減少する

辞めていく人が多い、というのは分かりやすい異常です。
特に役職持ちの方々がいなくなるなんてなおさら。

役職持ちの方々は会社の経営状態の深くに関わっており、今どんな状況なのかいちばん早く知れるポジションにいます。
まだ立て直せそうな状況ならまだしも、
もう手のつくしようがないと判明したら、貴方が役職持ちだったらどうしますか？

…給与や退職金が払われるうちに、別の会社へさっさと逃げようと思いますよね。

無理なコスト削減をはじめたり、いきなりお金に関してシビアになるのも危険なサインだというのは皆さんも想像出来るはず。

とはいえ、こんなのどこで見るの？と思われるかもしれません。社内でも、その詳しい実情は役職持ちしか分からないくらいです。知り合いがその会社にいるなら多少手っ取り早いですが…。

もちろん、わざわざ電話して聞けだとか、突撃インタビューしろだとか、そんな迷惑行為を推奨している訳ではありません。

正確な情報を掴むのは至難の業ですが、ただ少しでも「倒産しそうな雰囲気」を感じられるように意識して欲しいのです。皆さんは求職者です。会社の社長や社員の様子は、面接やエージェントを通して観察することができます。質問もできます。また、基本的ですが、その会社の評判や口コミなどをSNSやネットで調べることも有効でしょう。

その会社の取引先の動きにも注意しよう

会社の倒産リスクを見抜くために参考になるのは、
その企業がどこと取引をしているか探ることです。

会社においては、顧客との関係ももちろん大事ですが、会社どうしの関係も非常に重要です。

その会社が主要な取引をしている会社が万が一倒産すると、
会社にも大きな影響を及ぼす可能性がありますよね。

入社する前に取引の詳細を確認することは、
もちろん難しいものがありますが、
どこと取引しているかはホームページなどに記載されていることもあります。

取引先の動きは、
その業界や市場の動向にも関係しているため、常に最新の情報を入手することが重要でしょう。

確認すべきはニュースです。元からニュースをチェックする習慣がある人も、今までニュースをあまり気にしてこなかった人も、その会社の関連ニュースや業界のニュースに照準をあてて、常にアンテナを張っておくと良いですよ。

これがゆくゆくは面接にも役立つ可能性もありますから、損にはならないはずです。

以上のポイントを踏まえて、転職先の会社が倒産しそうな危険なサインを見逃さないようにしっかりリサーチしましょう。もし、倒産の前兆や予兆を発見した場合は、早めに対策を考えるか、転職先を変更するかを検討することが必要です。

倒産しそうな会社に転職してしまうと、どうなるか考えただけで恐ろしいですよね。給与の未払い、退職金の不払い、唐突なクビ、エトセトラ…。あらゆる不穏なリスクが高まります。

転職は自分の人生に大きな影響を与える決断です。せっかく労力をかけるのですから、会社選びも慎重に行うことが大切ですね。